この日、わたくしはマクセルアクアパーク品川を訪れた。昨今の潮流では好ましからざるものとの誹りが耳に入ることも段々と増えてきたイルカショーであるが、わたくしとしては幼い頃からイルカショーが好きなのだ。水棲生物、とりわけ大型の海洋動物たるイルカの体表は、傍目に艶やかな皮膚がなだらかな曲面を描いて美しい流線型の体軀を立派に形づくっている。魚類のそれを垂直廻転させた向きに発達した尾鰭で水を強く蹴りのけ、大きな推進力を生み出す。それは水面上数メートルの高さまで跳躍するのに十分な程で、人類には到底真似できない芸当を可能にしている。そこにわたくしは神秘を見出しているのだと思う。